特輯・Opinions
松江・茶の湯文化の守り手 島根県議・野津直嗣氏が描く「文化への展望」
松江市
2026/05/15 15:43
松江市議時代に「茶の湯条例」制定を主導した野津直嗣(のつ・なおつぐ)島根県議(49)は、長年、文化産業政策の研究に心血を注いできた。県議への転身に伴い、その視座を「市」から「県」へと広げた。市議時代に培った条例制定の知見を県政に反映させ、島根全域における伝統文化の継承に向けた制度設計を、著実に推進している。
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野津氏は取材に対し、「茶の湯条例とは、単に茶を飲むことにとどまらず、茶器(陶磁器)や和菓子、蕎麦(そば)、さらには『おもてなし』まで包含した文化産業チェーンを意味するものだ」と説明する。松江独自の文化を次世代へ継承すべく、同市では毎月1回「茶の湯の日」を制定。学校給食への和菓子の提供などを通じ、子供たちが日常生活の中で伝統文化に触れる機会を創出している。
文化の火を次世代へ――。郷土の発展を支えるべく、文化産業政策を力強く推進する野津氏
県議転身後、野津氏は県内各地の文化をいかに効果的に継承していくか、その方策を模索する。同氏が条例制定にこだわる背景には、政治家の文化に対する関心が必ずしも一様ではないという現実がある。法的な裏付けが欠如していれば、文化政策の推進や運用は首長や担当者の交代によって左右されかねない。文化保存の施策を制度化し、条例として明文化することこそが「継承の持続性を担保する唯一の方策」と説く。
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島根の多様な文化のあり方について、野津氏は「一見異なる文化も、根底では深くつながっている」と指摘する。
今後は文化間の垣根を越えた統合を深め、それぞれの特性を活かしながら合意形成を図る構えだ。かつて主導した条例をモデルケースに、現場で実効性を持ち、持続可能な文化産業政策の確立に向け、挑戦を続けている。