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ヴィンテージ、事跡、希少性 ワイン投資に関する仕組み分析

欧州報道部 | カオール 2021/06/30 18:38
絶版になったエリゼ宮宴会の御用達ワイン「1978年クロ・トリゲディーナ」。
絶版になったエリゼ宮宴会の御用達ワイン「1978年クロ・トリゲディーナ」。
ワイン投資
ヴィンテージ、事跡、希少性
ワイン投資はこれまで非常に格調高く彩りのあるビジネスゲームであり、いったいどのようなワインが安定的な投資対象となり得るのか、また、食事の文明の背後に潜む資本ゲームの中で競い合うためにどのような条件が必要であるべきか、その答えは、ヴィンテージ、事跡そして希少性、この三つによって構成された格調ある記号にあります。
 
名画のように貴重なヴィンテージワイン。名画のように貴重なヴィンテージワイン。


まずはじめに、「ヴィンテージ」とはただ単に古き年或いは良き年のことを指すのではなく、多くの洞察力に優れたワイン投資アナリストたちは、むしろ度々「不況」或いは「不作」である特殊な年代に目を向けています。例えば、2020年や2021年、この新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るった痛ましい年。特に今年2021年の初春、フランスでは深刻な冷害や人力不足の事態により、その年度のフランスワインは悲惨な未来が予見できます。しかし何にでも例外があるように、もしフランスのドメーヌがあり、人々に称賛されるボディの2021年ワインが醸造され、国際的且つ権威的なコンクールで栄誉ある賞を獲得することができれば、当然未来のワイン投資市場で眩いスターとなるでしょう。

 
典故があり年を重ねられているヴィンテージワインしばしばより貴重です。典故があり年を重ねられているヴィンテージワインしばしばより貴重です。


加えて、「事跡」もワイン投資アナリストが考察するべき重要なポイントであり、主に 2つの側面を含み、一つは、権威的国際評論或いはコンクールで得られるワインの評価や賞について、もう一つは、ワインが使用されるエリアの構築によって確立される象徴的な記号についてです。例えば、チャレンジ・インターナショナル・デュ・ヴァン(Challenge international du vin)」、「ヴィニュロン アンデパンダン コンクール (Vignerons Independant Concours)」、「トゥールーズ・コンクール(Concours des Vins du Sud-Ouest)の賞はもちろん、ミシュラン星付きレストランやエリゼ宮宴会の御用達ワイン、これらの事跡は全てワインの価値を高めることでしょう。

 
グローバル限定版、ヴィンテージ垂直のエリゼ宮宴会の御用達ワイン「クロ・トリゲディーナ」(2011﹑2012﹑2013)。グローバル限定版、ヴィンテージ垂直のエリゼ宮宴会の御用達ワイン「クロ・トリゲディーナ」(2011﹑2012﹑2013)。


最後に、「希少性」は市場の需要供給の問題に影響するだけでなく、価格上昇の余地にも直接関わってくるため、すべてのワイン投資アナリストがより追求したいと考えており、究極の指標とされています。例えば、「垂直ヴィンテージ」(すなわち連続ヴィンテージ)のワインこそ極めて希少価値の高い投資対象と言えます。そして、このような投資分析論は十分な例証としてウイスキーのオークション価格でも同様に見られます。2020年香港はかつて、日本の「羽生一郎のモルトフルカードシリーズ」ウイスキー計54本セットで約1189万香港ドル(約1億7千万円)を売りあげ、世界のオークション取引記錄を更新しました。しかし実際に羽生一郎のモルトフルカードシリーズが発売された当初は、1本あたりの価格約4600円〜36000円程度でした。その非常に高額な取引価格の背後には、54枚のトランプカードの組み合わせ、即ち、また別種類の垂直ヴィンテージの実施形態のように、希少性に根ざした投資論があります。

 
またワックスシールによりワインを長期熟成能力させる可能性を高めます。またワックスシールによりワインを長期熟成能力させる可能性を高めます。

ワイン投資の分析において、上で述べた構造的条件に加え、実はもう一つ重要な前提があり、それはワインの長期熟成能力です。ワインにその長期熟成能力という優勢な条件が備わった時、上で述べた分析論はようやく意義をもつことでしょう。より高い長期熟成能力を持つ、即ちそれこそが格調と利益の象徴なのです。

 
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