日本原料にこだった醸造、木桶熟成の百年老舗── 森田醤油

島根県奥出雲町にある森田醤油は、日露戦争の前年である明治36年(1903年)に創業し、120年以上の歴史を誇る老舗醤油蔵です。現在では数少ない、100%国産原料と木桶熟成にこだわる醤油メーカーとして、伝統の技を守り続けています。近年は、国産の有機大豆と有機小麦を使用し、杉の木桶でじっくり熟成させた有機醤油の醸造にも成功。時代に即した、より健康的な醤油造りにも力を注いでいます。
森田醤油使用する麹菌はすべて自社の蔵に育てる
森田醤油の4代目の森田郁史さんは取材に対し、「市場に出回る醤油の大豆原料のうち、国産丸大豆が使用されている割合はわずか3%です。(醤油の統計資料 2022実績)。しかし、森田醤油では100%日本産の丸大豆、小麦、塩のみを使用し、長い年月をかけて蔵で酵母菌を育みながら、麹造りから一貫して自社で製造して、木桶に仕込んでいます。」と述べた。
森田醤油は、創業以来122年間、一貫して昔ながらの製法を守り続け、醤油を醸造しております
森田醤油の風味について、森田醤油の代表的な商品「百年先も」は島根県産の大豆・小麦、奥出雲の湧き水、天日塩を原料に、組み直した木桶で2年間熟成させた濃口醤油です。森田さんは「一般的なこいくち醤油に比べて仕込み水を少なくしているため、うまみと香りがより強く感じられます。さらに、長期熟成による深いコクと豊かな香りも特徴です。」と話した。
濃口の再仕込み醤油のもろみ(発酵・熟成中の状態)です
醤油の品質を左右するのは、原料だけではありません。水の質もまた、味わいを決める重要な要素です。奥出雲は中国山地の源流域に位置し、広大な森林と雄大な山々に囲まれた、ほぼ手つかずの自然環境が広がっています。
この豊かな自然が育んだ奥出雲の地下水は、適度なミネラルを含みながらも、口当たりの柔らかい「軟水」。その清らかな水質こそが、森田醤油の奥深い旨みとまろやかな風味を支える重要な要素となっています。
この恵まれた水と、100%国産原料、そして長年受け継がれてきた昔ながらの製法が融合することで、森田醤油の百年にわたる醸造の歴史が築かれてきたのです。