中村寿男さん、タイ王室に日本の抹茶をもたらした流行プロモーター

松江で140年の歴史を誇る「中村茶舗」は、創業以来、政界や商業界、そして、茶道裏千家及び武者小路千家の家元等各家元と交流を深め、茶道界の多くの人々に愛されてきました。4代目社長中村寿男さんはタイ王室に民間人として初めて呈茶をした人物である。そして、中村茶舖が「幾多の困難や戦争を乗り越え」経営継続し、その後、世界進出を成功させたことについて、中村寿男さんはすべては歴代の家族経営者による茶道文化精神の継承のおかげと考えている。
創業140年の歴史を持つ中村茶舗
中村茶舗の歴史は当時松江が全国的にも抹茶の消費量が多い地域だったので、そこに初代の中村末吉さんが宇治の中村藤吉本店から分家して、松江に来て商売を始めたことが始まりである。初代は闘茶の技術で全国でも有名で、日本初の電動抹茶石臼機を発明した人物でもある。一方、2代目の中村芳男さんは、火災や戦争で茶店が度々全焼するなど苦難を経験し、復興のための資金集めに苦労した。彼は茶道文化を愛し中村茶舗の中庭に「松吟庵」という茶室を建てた。
「松吟庵」、戦時中に中村茶舗2代目・中村芳男さんが建立した茶室
3代目の中村明さんは、当時の日本が西洋欧米文化の影響を受け、日本茶を飲む需要が減少していたことをきっかけに、茶そば・茶そうめん(日本の伝統的な麺(蕎麦・素麵)に日本茶を練りこんだ麺)や中村茶舖のオリジナルブランド珈琲「ラフカディオ珈琲」等の新商品を開発した。そして、4代目の中村寿男さんは「日本茶文化の啓蒙」を経営目標に掲げ、国内外の文化構築と販路拡大を推進した。中村寿男さんはインタビューで「先代から受け継いできた経営理念は変わりません。その経営理念を基に、私の代では、海外に 日本茶文化の啓蒙を経営目標としました。それで、日本茶の販売の拡大を試みました。」と語った。
抹茶を使って日本の茶道文化を世界に広める中村寿男さん
中村寿男さんは今後の中村茶舗について、「中村茶舗の5代目である娘の中村紗智子と万紀子は覚悟を決め、経営を継ぐことを決意しました。それはタイ王室のソンサワリー王妃にお茶を呈茶した私たちを 5代目の彼女たちが手伝えたその経験が大きく影響したのではないでしょうか? 今、彼女たちは製茶技術の研鑽を積むだけでなく、国内外への日本茶文化の若年化と女性化の推進にも邁進しております。特にパッケージのデザインを刷新することでより、多くの若者やインバウンド需要の獲得を目指しております。」と語った。