特集 | FEATURE
不昧流茶道(1) 內田曉子「松の音を聞く幸福な時間」
松江市
2022/03/12 10:53
不昧流茶道
內田曉子
內田曉子
わたしは、水の都松江で生まれ育ち暮らしている、茶道が大好きな人間です。不昧流茶道のお稽古を始めてから40年になります。師範の免状を頂いてからは25年が経ちました。地元発祥の流派である不昧流を長く続けることができたのは、優しくて尊敬する恩師に巡り合えたからだと思っています。
毎日の忙しい日常で疲れていても、釜のお湯が沸く音(松の音)を聴きながら、心静かにお茶を点てるのが至福の時です。松の音とは松の梢に吹く風の音にも似た、湯が沸く音を言います。静寂の中に、この釜から奏でる音は日本人なら誰しも心静かになり、気分も穏やかになるのです。不昧流は、作法はとても簡素で地味ですが、無駄なところを省いて理にかなっている、そういうところにわたしは惹かれます。時を経て、現在は茶道を教える身にはなりましたが、若い方たちにわたしが惹かれ続けている茶道を好きになって貰いたいと思っています。
不昧流に限らず、茶道人口は減少の一途を辿っています。松江と言う小さな街で、江戸時代の名君と言われた不昧公を元祖の茶道不昧流という伝統文化を途絶えさせてはならない責任が私たちにあると思っています。(內田曉子)