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「足柄若水」醸造の先駆者  創業125年── 川西屋酒造店

神奈川県 2022/06/16 16:09
機械に頼らず手で返して冷ます米麹の製作工程
機械に頼らず手で返して冷ます米麹の製作工程
足柄若水
川西屋酒造店

明治三十年(1897年)神奈川県足柄上郡に創業した「川西屋酒造店」は、125年の歴史を持ち、代表銘柄である「丹沢山・丹澤山」と「隆(りゅう)」は長年に渡る酒米と醸造の個性の両方を存分に楽しめる限定酒として知られてきました。三代目は、足柄平野の現地で栽培された酒造好適米 ──「若水」で酒を醸造するとともに、地元で栽培に勤しむ農家を積極的に推進し奨励した先導者として、「足柄若水」産地の形成に多大なる貢献を果たしました。

 
足柄平野で栽培されている好適米──「若水」足柄平野で栽培されている好適米──「若水」
 

「川西屋酒造店」の発展の歴史について,現在の藏元である露木雅一氏はインタビューにて:「明治30年、酒匂川の東岸である南足柄の露木家が山北の造り酒屋を買い取って創業。酒匂川(さかわがわ)を渡って西に移ってきたので川西屋酒造店と命名。」それにより、地の利を得ることができ、川西屋酒造店が醸造工程に使用する水はすべて、敷地内井戸から汲み上げるミネラルを豊富に含む中硬水で、銘水の里「山北町」が誇る、西丹沢山系の伏流水である。

 
現在、「川西屋酒造店」では100%の純米酒しか醸造されていない現在、「川西屋酒造店」では100%の純米酒しか醸造されていない
 

酒米の品質や醸造の個性を追求するため、現在「川西屋酒造店」は足柄の地元農家と協力して「足柄若水」を育成するほか、毎年徳島県阿波地区から良質な「阿波山田錦」を大量に購入して原料米として使用している。露木雅一氏は次のように語る。醸造用アルコールを添加した普通酒と本醸造酒は醸造せずに、現在は全量純米のみ醸造している。露木雅一氏はさらに次のように強調した「奇をてらった風味によってお酒だけが目立つのではなく、純米酒はその成り立ちからずっと食中酒であり続けているとの考え方により、お酒と食べ物がお互いに引き立てあってそれぞれの味わいを高めあうような『食』との好相性を作るお酒を造り出したい。」

 
それが熟成中の「丹沢山」系列の原酒だ
それが熟成中の「丹沢山」系列の原酒だ
 

一方で、酒米と水の他にも、露木雅一氏は「熟成」の醸造過程における重要性について、もう一つの重要なポイントを指摘した。露木雅一氏は次のように語った。「特に「丹沢山・丹澤山」シリーズにおける『熟成』とは、単にお酒を出荷まで瓶のまま冷蔵しておくという意味合いではなく、タンクという大きい単位で、冷蔵ではなく蔵内常温で寝かせて“おいしくさせる”ことが重要で、お酒の味わいを枯れて練れた、穏やかなものにするための大切な工程であると捉えている。」川西屋酒造店が醸造する年間生産量がそれぞれ数百本単位の「隆」シリーズのブランドから「丹沢山・丹澤山」シリーズまで、醸造後、それぞれに適した環境で熟成した後、理想的な味に凝縮されます。

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