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「醸は農なり」山根酒造場── 料理に合う日本酒造りに力を入れる

鳥取市 2021/12/30 17:28
開業から134年歷史を持つ「山根酒造場」
開業から134年歷史を持つ「山根酒造場」
「醸は農なり」
山根酒造場

鳥取の地に、明治20年(西暦1887年)に創業した「山根酒造場」は、酒米の品質と特性を活かし、食の邪魔をしない日本酒を醸造する、134年の歴史を持つ有名な酒造。酒米の品質と醸造スタイルを保持するだけではなく、山根酒造場が醸造時に使用する醸造水は、環境省から平成の名水百選に選ばれた「布勢の清水」を採用している。これらの条件は、山根酒造場が高品質な日本酒を醸造する上で欠かせない要素となっている。

 
食の邪魔をしない醸造は「山根酒造場」が追求し続けている目標です食の邪魔をしない醸造は「山根酒造場」が追求し続けている目標です
 

「山根酒造場」の5代目蔵元、山根正紀氏は「単に飲むものではなく、料理に味をつける日本酒の醸造に力を入れています。それが私たちの酒造の真の価値です。」と話し、この考え方については、祖父であり3代目蔵元でもある山根正徳氏が臨終の際に告げられた遺言に由来している。「祖父は、私が大学生の頃、亡くなりました。私が急遽東京から帰省し見舞いに行くと、父は既にまともな会話ができないほど衰弱したなかで、 最後に私にこう告げたのです。『食の邪魔をする酒だけは造ってくれるな』と。」

 
 
良い酒米で醸造することは「山根酒造場」が誇りを持って固く守っていることです良い酒米で醸造することは「山根酒造場」が誇りを持って固く守っていることです
 

山根正紀氏は「『食を邪魔しない酒』とは、お酒だけですすんでしまうお酒でなく、食を活かす酒。」とし、家族の醸造事業を引き継いだ後、料理に合う酒の醸造を目標に酒造りを続けた。山根正紀氏は、食と組み合わせて風味を高める醸造スタイルを追求するほか、「酒米」の栽培と選択は高品質の日本酒を醸造するのに欠かせない肝であると指摘した。

 
山根正紀氏は「酒の純化は酒の進化であり未来に残すべきものです、味わいの中に人間臭さや風土をパノラマのように映し出す、そんな醸造をしていきたい」と語った山根正紀氏は「酒の純化は酒の進化であり未来に残すべきものです、味わいの中に人間臭さや風土をパノラマのように映し出す、そんな醸造をしていきたい」と語った
 

日本酒の醸造事業について山根正紀氏は、良い米を生産してくれた農家、醗酵に関わってくれる多くの微生物、この二つの醸造に欠かせない基盤がなければ良い酒を醸造できないと考えている。日本酒の醸造は稲作農業の延長線上にあり、簡潔に述べると「醸は農なり」である。「醸は農なり」こそが山根酒造場が守ってきた哲学である。山根正紀氏は「『醸は農なり』は、私達が伝統産業の誇りを失わないよう自らを戒める意味でも使っている言葉です。」と述べた。

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