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ヒューマニスティックバリュー 豊かな精神性を表現の住宅建築──「黒崎敏」

東京都 2021/12/18 21:28
「ORTHO」Residence by APOLLO Architects & Associates
「ORTHO」Residence by APOLLO Architects & Associates
建築家
黒崎敏氏

「お客様と社会が求める豊かな精神性の表現及び思考を建築理念とする」として2000年に建築家である黒崎敏氏が設立したAPOLLO一級建築士事務所。設立されてから200件以上の住宅設計を手がけ、それらの建築作品が国内外の数々の賞を受賞したのは、実力に他ならないだろう。住む人や敷地環境による導線のあり方や光の扱い方、風の導き方や素材の選択手法などを検討し、大胆さと繊細さの両極を意識しながら、すべての建築作品に丁寧に向き合ってきた。2016年の代表作「GRIGIO」はイギリスのWallpaper Design Award賞を受賞し、国際的にも活躍している。
 

 
建築家 黒崎 敏氏 Satoshi Kurosaki建築家 黒崎 敏氏 Satoshi Kurosaki ©APOLLO Architects & Associates
 

黒崎敏氏は、リモートワークの常態化にともない、人々の仕事や生活様式が大きく変化すると考えている。彼は都市部とリゾート地の二拠点を持つ、多様な生活様式が洋の東西を問わずこれからのライフスタイルのスタンダードになると確信している。2021年の沖縄県国頭郡「INFINITY」がその最たる例だろう。普段は北海道で仕事をして、週末や休日は別荘である沖縄北部「GUSHIKU MUI」という山岳地帯で過ごす。丘から広がる海の景色と、背景にそびえる雄大な山並みの美しさを堪能しながら、住む人の心身をリラックスさせ、最高のクオリティ オブ ライフを実現させている。





 

最近完成した作品「ORTHO」は、関東近郊の一戸建て住宅だ。2つの大きなコンクリートのボリュームがずれながら重なるRC杉板打ち放し仕上げのマッシブでシンプルな外観。オーナーが購入した敷地は、ひな壇形状の変形地。黒崎敏氏はその敷地特性を巧みに利用して平屋の住宅を作った。空間を自由に行き来しながらも、それぞれの空間でプライバシーを保つことができ、それでいて同時に開放感もある。オーナーの希望する屋内に中庭が欲しいという要望も満たしながら、「プライバシー」と「シンプルさ」を両立させている。





 

住宅建築の未来について、黒崎敏氏はインタビューにて「戦後から続いた住宅供給はひとまず役割を終えました。今後は単に家族のためだけのプライベートレジデンスを創出する時代は終焉を迎え、オフィスやホテルなどパブリックな要素を内包したレジデンスを創出する必要を感じています。」と述べた。また黒崎敏氏は、建築家としての役割は、変化し続ける環境の中で建築を共存させる方法を考えなければならないとも指摘する。彼は住宅建築に潜在する人間の精神性、それこそが未来の社会と環境に最も必要なファクターであると深く信じている。
 

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