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建築を通じて社会と対話する 現代で最も勢いのある新世代の建築家 ──「八木祐理子+高田一正」

ロンドン 2021/11/17 11:31
PAN- PROJECTS 2019「UNIQLO Pink」。Location: Copenhagen, Denmark。©PAN- PROJECTS
PAN- PROJECTS 2019「UNIQLO Pink」。Location: Copenhagen, Denmark。©PAN- PROJECTS
新世代の建築家
「八木祐理子+高田一正」

「社会現象、経済活動、歴史等、有形と無形の各種の要素との一致性や関連性に注目し、建築の題材を構築することで、新たに建築物に社会文化という意義を付与する。」── 2017現代で最も勢いのある新世代の建築家として選評された八木祐理子氏と高田一正氏より。

 

PAN- PROJECTSを共同主宰する高田一正氏(左)と八木祐理子氏。©PAN- PROJECTS。PAN- PROJECTSを共同主宰する高田一正氏(左)と八木祐理子氏 ©PAN- PROJECTS
 


八木祐理子氏と高田一正氏は2017年に共同で「PAN- PROJECTS(建築デザイン事務所)」を設立し、ロンドンを拠点に日本とヨーロッパで活躍している。著名な作品に「The Matter of Facts」、「建築未満プロジェクト(Paper Pavilion,Floating Pavilion,FOS)」、「UNIQLO Pink」、「The Playhouse」等がある。PAN- PROJECTSは建築と社会の相互作用を根底に掲げている、彼らは都市の未来図を示すことで、社会に向けて自分達の建築の理想を提案している。コペンハーゲンCHART Architecture最優秀賞授賞、ヴェネツィア・ビエンナーレでは新世代の建築家として選出されている。
 

 
PAN- PROJECTS「The Matter of Facts」ミクストメディア2021年国立新美術館展示風景。©PAN- PROJECTS。PAN- PROJECTS「The Matter of Facts」ミクストメディア2021年国立新美術館展示風景 ©PAN- PROJECTS
 


2021年にPAN- PROJECTSが「The Matter of Facts」を出展した際に、建築家はどのようにして時事や社会情勢を材料を通して表現できるのか、生活の中で捉えられるこれらの有形と無形の素材と現在地(既存の空間)の印象を一緒にすり合わせるかを論述している。八木祐理子氏はインタビューを受けたとき「『The Matter of Facts』ではコロナ禍が社会に与えた影響とコロナ禍により遅延、または中止されたイベントを反映しました。コロナ禍で産出された各種の印刷物、出版物。私達はそれらの有形と無形の素材を組み合わせることで『都市の記憶』というテーマを実現しました。事実と事柄(=facts)の伝達手段を用いた、大量の印刷物の組み合わせから成るこの作品は、事実を伝達するでけではなく記憶の痕跡として残す方法でもあるのです。」と語った。

 

 
「Paper Pavilion(ペーパーパビリオン)」。コペンハーゲンCHART Architecture最優秀賞を受賞した。©PAN- PROJECTS。「Paper Pavilion(ペーパーパビリオン)」。コペンハーゲンCHART Architecture最優秀賞を受賞した。©PAN- PROJECTS
 
 

2017年に出展した「Paper Pavilion」は八木祐理子氏と和高田一正氏によるユニット名での代表作である。「Paper Pavilion」の発表後すぐに世界各国で注目と好評を集めるとともに、コペンハーゲンCHART Architecture最優秀賞を受賞した。その後もPAN- PROJECTSは「建築未満プロジェクト」を発展させ続けた。八木祐理子氏は「『建築未満プロジェクト』は疑問から始まったプロジェクトシリーズです。この作品を通じて私達は積極的に社会と対話することを行ってきました。事務所を設立し始めてからの3年間、ずっと私達は小規模のパビリオン建築に注力してきました。私達はパビリオン建築が建築ジャンルとして大きなポテンシャルを秘めていると思ったからです。なぜなら、(1)機能が単純明快である、(2)強いコンセプト、都市に対するメッセージをピュアに込められる、(3)建設費が比較的少額のため実現させ易い、(4)小規模の為、規制が少ない、(5)小さくても「建築」である、といった理由だからです。各国の異なる都市でこのプロジェクトを実現することで、私達は地元の市民との対話する機会を得ることができました。」と語った。



 
PAN- PROJECTSの体験型複合新施設「The Playhouse(ザ プレイハウス)」。©PAN- PROJECTS。PAN- PROJECTSの体験型複合新施設「The Playhouse(ザ プレイハウス)」。 ©PAN- PROJECTS
 

現代で最も勢いのある新世代の建築家として、「八木祐理子+高田一正」は明確な使命を持ちながら「建築」を実現する価値を知っている。今後について、八木祐理子氏は:「私達は都市がこうなれば良いというポジティブなビジョンで、これからの社会の動きそのものをデザインすることから始め、その延長線上に在る建築を通し、より社会との対話を加速させていけるよう、これからも前進していきたいと思っています。」と語った。

 

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