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未来 | FUTURE

消えていく日本の伝統工芸── 島根の漆器「八雲塗」

松江市 2024/01/31 15:28
八雲塗で最も重要な継承者、漆工芸絵師武田純さん
八雲塗で最も重要な継承者、漆工芸絵師武田純さん
島根の漆器
八雲塗

「八雲塗」は昭和56年に島根県から指定伝統工芸品に認定された。創始者の松江塗り師坂田平一氏から140年余り経ち、松江を代表する伝統工芸品の一つとして認められている。しかし、工芸作家の高齢化及び出生率の低下、若者の流出などの理由で継承者不足が問題となっている。近年、松江市役所はこの問題に対する対策を打ち、重要な文化資産を次の世代に繋げようと活動している。

 
独特な漆器塗りの技術は八雲塗の芸術をさらに価値のあるものとします独特な漆器塗りの技術は八雲塗の芸術をさらに価値のあるものとします
 

八雲塗の全盛期は大正から昭和の時代にあたり、当時は97の制作場と142名の職人がいた。八雲塗が特別かつ貴重である理由は、内層に色漆を塗り、漆絵のような文様を描き、その上に木地呂漆(透漆)を何層にも塗り重ね、最後に砥いで磨いて仕上げます、光沢と文様を引き出すという工法にある。年月を経るごとに漆の透明度は増し、漆絵はより鮮明な色を放つ。これこそが他の日本漆器との最大の違いである。

 
八雲塗の透明度と色彩表現は時が経つとともにどんどん進化しています八雲塗の透明度と色彩表現は時が経つとともにどんどん進化しています
 

現在八雲塗で最も重要な継承者、漆工芸絵師武田純さんは取材に対し、そう話した。「八雲塗りと他の漆器との大きな違い、又は特色は『とても絵画的な表現』日本の漆器は形や塗り方に大きな違いは無く、いわゆる表現の技法にその違いが現れます。八雲塗りはそのデザインにおいてとても漆絵の占めるウェートが大きな漆器です。つまり絵によるデザインが施されて無いものは八雲塗りとは呼びません。現在県内で塗り師、画家は残り4、5人となっており技術の継承が最大の問題となっています。私ももっと多くの人が八雲塗に興味を持ってもらえるよう願っています。」

 
八雲塗と進化していく現代の表現術八雲塗と進化していく現代の表現術
 

伝統後継の問題に関して松江市役所も積極的に対策を練っています。松江市文化スポーツ部松尾純一部長は取材に対し、「販路開拓と伝統工芸における担い手の確保・育成が最大の課題である。2022年から開始した『松江の文化力体験事業』の取り組みにおいて、市民が伝統文化芸能に触れてもらう機会を提供しています。八雲塗にフォーカスしていうと、2023年11月11日には『親子で楽しむ八雲塗り体験』を実施しました。後継者問題は今もありますが力を尽くして若い世代を育てられるよう努力を尽くしています。」と話した。

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