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合気柔術の再現と伝承 「大東流」講武館── 川邉武史

大阪市 2023/07/21 14:33
川邉武史氏とその門弟芝田彰祐さん
川邉武史氏とその門弟芝田彰祐さん
大東流
川邉武史

合気道の源泉となった「大東流合気柔術」は神秘的色彩を帯びている。その技術体系は莫大かつ複雑で、合気の思想は戦後の日本武道の発展に影響を与えた。大東流合気柔術の極意を再現、伝承するために久琢磨氏と千葉紹隆氏に師事し、久琢磨氏から教授代理を引き継いだ「講武館」館長の川邉武史氏は、久琢磨氏と千葉紹隆氏から受け継いだ技を教えるだけでなく、残された書籍の中から武田惣角の大東流の技を発掘し、再現している。

 
川邉武史氏(79)、依然として展開される大東流合氣柔術の非凡な極意川邉武史氏(79)、依然として展開される大東流合気柔術の非凡な極意
 

川邉武史氏は取材に対し、「大学時代から久琢磨先生に合気道を教わり、その期間は4年間にも及びました。植芝流の合気道を学ぶところから始まり、大東流合気柔術に出会ったのは卒業後でした。」と話した。久琢磨氏の他に、影響を受けたのは四国の千葉紹隆氏である。「大東流を学んでるときに、千葉先生の名前はすごいので知っていた。先生から家に電話きて教えるから学ばないかと誘いがあった。それから四年間毎月一回四国に行って学んだ。」

 
川邉武史氏の教えにおける合気の重要性川邉武史氏の教えにおける合気の重要性
 

なぜ合気道と合気柔術を学ぶことを決めたのか。川邉武史氏は「力対力ではないから、相手の力を緩める。力対力では当たってします、力と力のない方だと、混ざってくる。」と語った。また、どのように正確な大東流合気柔術を学ぶかについては「ゆっくりと動きながら技が掛り出すと徐々に早くする稽古へ。 最初から早くすると捕に技を合す事になる。これは必ず注意すべき点です。」と強調した。

 
稽古中の川邉武史氏稽古中の川邉武史氏
 

大東流合気柔術の奥義を探るために、川邉武史氏の先生として千葉紹隆氏のほか、四国の蒔田完一氏、北海道の武田惣角氏の息子武田時宗氏からも学んだ。現在79歳というご高齢な川邉武史氏だが、毎日大東流合気柔術の稽古をつけるのみでなく、毎月自身の弟子と共に伝承された書籍内の技を研究している。川邉武史氏は「これは総伝という、写真で技を残された。一巻から九巻まである。一巻から六巻までは植芝盛平が教えて、七巻から本当の大東流を、武田惣角が記録している。」と話した。写真が1、2枚と非常に少ない中で技を再現することは非常に困難だが、弟子とともに大東流合気柔術の珍しい技を発掘、伝承している。

 

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