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パリに輝く 百年窯元を継いだ四代目の新たな挑戦

石川県 2021/06/30 17:22
「華鳥夢譚『孔雀 KUJYAKU』」 PHOTO : 錦山窯。
「華鳥夢譚『孔雀 KUJYAKU』」 PHOTO : 錦山窯。
錦山窯
パリに輝く
日本が世界に誇る伝統工芸を支える職人は、2020年まで、毎年25%ペースで減りつつあるそうです。バブル崩壊後経済低迷で、厳しい経営環境になり、高齢化社会や後継者不足など、伝統工芸は消滅の危機に瀕しています。さまざまな問題をどう解決するかは、今後の取り組むべき課題になります。伝統工芸が盛んな石川県にある錦山窯は、110年の歴史がある九谷焼上絵付を専業とする窯元であり、四代目を受け継ぎ、数年後の2017年にパリに開催されるメゾン・エ・オブジェに作品を展示し、百年ブランド錦山窯は世界中に高評価を得ました。新たな価値を創出、伝統工芸を蘇らせたのは四代目の「吉田幸央」です。


九谷茶譚 -KUTANICHATAN

抵抗しながら、家業を継ぐ。伝統を守りながら、未来のために動く。 工房に一日中ラジオが鳴っていて、職人たちが並んで座って、黙々と作業しているのを見た幸央は、ものづくりが好きだけと、家業を受け継ぐことは抵抗がありました。昔なら、流通側の需要を合わせてものを作る。高度な技術を持つ職人だけは、難しい経営環境の中から、九谷焼は存続の危機に直面しています。錦山窯の四代目として、作者として、窯元の経営も、伝統工芸を守ることには、職人だけではなく、チームが必要です。そして、新たな取り組みが始まりました。2019年にギャラリー「嘸旦」が開設され、お客様と対話し、作品の魅力を発信する拠点になりました。
 
「嘸旦 MUTAN」錦山用のギャラリー。PHOTO : 錦山窯。「嘸旦 MUTAN」錦山用のギャラリー。PHOTO : 錦山窯。
 
(左から)「華鳥夢譚『孔雀 KUJYAKU』、『MIROKUシリーズ』」PHOTO : 錦山窯。(左から)「華鳥夢譚『孔雀 KUJYAKU』、『MIROKUシリーズ』」PHOTO : 錦山窯。
 

錦山窯の作品をアピールするため、製品の差別化は重要です。錦山窯のブランディングに携わるデザイナーの古庄良匡氏と当主の吉田幸央との間で話し合いが重ねられ、「酒具ーshugu」、「華鳥夢譚」、「九谷茶譚」、「浮世」などシリーズを制作することに決めました。錦山窯がこれまで受け継いできた伝統技法で作ったグラスや鉢などひとつひとつのアイテムが塔のように積みあがることで、 伝統と現代を調和した日常的に使って楽しめる美しい作品です。鳥や花、魚などの形や幾何学紋と多彩な色を使って、さらに華やかで唯一無二の世界観を作り上げ、パリに開催されるメゾン・エ・オブジェに高い評価されています。
 

変化の激しい今の世の中、環境の変化を合わせて対応しなければなりません。何か変わらなければ生き残れない時代ですが、錦山窯は伝統を守りながら、新たな世界観を見出し、進化し続ける存在です。この先はまだまだ長いですが、進化し続ける錦山窯の活躍が期待されています。

 

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