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釉裏金彩の第一人者・「人間国宝」吉田美統

石川県 2021/06/30 16:11
世界でも注目
釉裏金彩九谷燒
特殊技法は陶磁器の芸術価値を左右する重要なポイントの一つです。360年の歴史がある九谷焼は日本三大陶磁器の一つ、明治時代から、石川県小川市にある錦山窯は九谷が育んできたさまざまな技法を受け継ぎ、中でも錦山窯が得意とするのは金彩の技法です。三代の吉田美統は伝統の技法を独自の釉裏金彩の技術を高め、人間国宝の認定を受けました。吉田美統の作品は釉裏金彩の絶妙な技術が活かされており、落ち着いた品格のある優美な芸術品として、高い評価され、「釉裏金彩牡丹唐草文花瓶」のオークション落札価額約1000万円で、九谷焼を代表する作品と言われています。
 
作品題:「釉裏金彩牡丹唐草文花瓶」。作品題:「釉裏金彩牡丹唐草文花瓶」。

「釉裏金彩」は昭和30年に確立され、金箔と九谷焼という2つの伝統文化が見事に融合した技法です。この技法を体得するには、長年の鍛錬を要し、九谷焼の中でも極めて難しく、手間がかかる技法と言われています。釉裏金彩は高く評価され、国指定重要文化財と認定されました。釉裏金彩とは本焼した陶器に花びら、葉っぱや鳥などの形に切り取った薄い金箔を一枚、一枚丁寧に貼り合わせて焼き付け、その上に釉薬を施し、低温で焼く技法です。

 
釉裏金彩の奥技。釉裏金彩の奥技。

吉田美統(本名:吉田稔)、独自の陶芸技法の最高峰と言える釉裏金彩の第一人者、文部科学省から国指定重要無形文化財保持者の認定を受けています。独自の金襴手技法は初代から代々、細やかで絢爛華麗な絵付けが特徴です。三代の吉田美統は,人間国宝の加藤土師萌(1900~1968)の遺作展で、釉裏金彩の作品を感銘を受けて、試作を始めました。吉田美統は石川県小松市生まれ、雨が多い石川県は湿度が高いため、瑞々しい艶がある質感の作品を生み出します。吉田美統は独自の釉裏金彩技法で草花などの自然なモチーフとして、完成した作品は落ち着いた雰囲気と存在感を醸し出すのが魅力的です。「釉裏金彩牡丹唐草文大皿」は金箔を重ね合わせ焼成することによって生まれる重厚で奥行きを感じ、立体感や律動感を与える温かみのある作品になっています。淡い緑が金を優しく包み込んで、落ち着いた雰囲気を与えます。

 
吉田美統—錦山窯三代目。吉田美統 ── 錦山窯三代目。

九谷焼の最高峰の作者として、吉田美統の独自の釉裏金彩技法だけではなく、芸術性高い作品を作りながら、伝統文化を大切を守りつつ、九谷焼の新たな世界観を見出します。自然をモチーフして、絢爛豪華でありながら、華美になりすぎず上品な作品であることが吉田美統は「釉裏金彩の第一人者」と言われた理由でしょう。
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