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「辻常陸窯」── 歷代皇室御用の名窯

佐賀県 2021/09/08 20:48
辻門。トンバイ塀。
辻門。トンバイ塀。
辻常陸窯
皇室御用の名窯

「辻常陸窯」── 史上初磁器の皇室御用窯元に指定された名窯です。350年の歴史を持ち、第112代天皇「霊元天皇」から賞賛され、辻家三代喜右衛門から始まり今に至るまで、歴代皇室御用達の磁器です。辻家秘伝の復元された技法「極真焼」は九代喜平次の失伝した技術です。その技術が非常に優れているため、1990年(平成2年)の明仁上皇御即位、愛子内親王御誕生など毎回、皇室の重要な慶祝行事では辻常陸窯で焼いた磁器が使われています。骨董品の収集家は、こう指摘します「窯元の作品は非常に希少で、世界各地の博物館や貴族の名家に多く収蔵されている。過去には芸術品の取引市場で辻常陸窯の作品が3800万円で取引されていたこともありました。」

 
十五代辻常陸 作 「四君子 大壷」。2017年。
十五代辻常陸 作 「四君子 大壷」。2017年。
 

磁器の都である佐賀県有田町に位置する「辻常陸窯」は、古来より皇室や藩主に献上してきました。江戸時代に正式に皇室御用の窯元「禁裡御用窯」と指定された名家であり、皇室に納めてきました。現在も皇室御用の磁器を焼いています。「辻常陸窯」は現在、十五代辻常陸── 満喜男氏が継承している、「辻」は姓で、「常陸」は天皇により与えられた官職名です。1706年、辻家六代喜右衛門がこの官職を任されて以来、代々世襲で受け継がれています。辻常陸窯は「禁裡御用窯」とも言われ、「裡」は「皇室」であり「禁裡」は「みだりにその中に入ることを禁じる」という意味です、当時の辻常陸窯は徳川家康将軍ですら勝手に入ることのできない聖域でした。1989年に宮内庁により解禁されてからやっと民間にも開放されました。

 
十四代辻常陸名作 復元金襴手菊花文飾香炉。1999年。十四代辻常陸名作 復元金襴手菊花文飾香炉。1999年。
 

辻家秘伝の復元された技法 ──「極真焼」、1811年、九代喜平次による失伝した技術です。この技術は製品と同質の磁土で一つの匣鉢を作り、その中に製品を納めます、その後に溶けやすい釉薬を塗り、焼きの工程に入ります。匣鉢により完全に気体が遮断されることで、火や煙灰による素焼き部分や釉薬部分の破壊や汚損を防ぎ、真空状態での焼成は暈し染めのような優雅で透明感のある呉須(青藍)色を生みだします。焼成が完了すると鉄製の槌で匣鉢から製品を叩き割り、中から取り出します。極真焼は皇室に献上するために編み出された技法です、門外不出の技術であり、辻常陸窯は「幻の名窯」、「幻の極真焼」との呼び声も高いです。

辻家秘伝の復元された技法—「極真焼」。辻家秘伝の復元された技法 ──「極真焼」。


江戸時代から現代まで継承されてきた辻常陸窯。350年辻常陸窯は皇室との深いつながりを保ってきました。辻家の使命は皇室御用の磁器として全ての技術を継承し、最高品質のこだわりを持つことです。現在も辻常陸窯は有田焼の中で重要な美術的な地位を占めています。

 

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