否定、破壊、再創造 新世代の抽象主義女性画家── 內田江美
內田江美
内田江美は山梨県に生まれ、現在は岡山県牛窓町に居を構えている。8歳から日本画家の安藤峯子に師事して絵画を学び、女子芸術専門学校卒業後、2002年から秋山令一に銅版画を学び、2005年には安倍安人に師事する。内田江美氏は無数の線を用い重ね合わせ融合させることで鮮明な油彩を表現して、 キャンバスに整然とした次元空間を生み出し、絵画作品の平面的制限を超え、独自の芸術スタイルを確立している。現在、新世代の日本の抽象表現主義画家として非常に注目を集めている新星であり、アジアや欧米において極めて高い評価を得ている。
内田江美「Ancient Dream」
内田江美氏の代表作「Trace」シリーズは木炭で数百数千にもなる細い線を描き、油彩の色彩とレイアウトを重ねて融合させる、点と線、境界面、色彩、構図とスタイルを通して神経細胞ニューロンのような空間を構築している、それは空間に対する芸術家の思索を体現したかのようで、まさに内田江美氏の唯一無二の表現方法である。以前に、著名なインディペンデント・キュレーター加藤義夫氏は作品について「私は内田江美の抽象画に深く吸い込まれた。『Trace』の絵のすべてが無限に広がる宇宙空間を感じさせる。彼女の絵からは一つの否定、破壊、再創造された新世界を見い出すことができる。過去を否定し続ける存在、革命を引き起こすような前衛芸術的なアプローチだ。」と述べた。
内田江美「S80-Trace-325」
公の場で,內田江美氏は次のように語ったことがある:「気に入らなかったり、間違えた時消しゴムで消す。しかしそれでも消えない時は線で塗りつぶす。それは過去を否定することである。その否定された痕跡が時として面白い形をなしていることがある。」と述べている。否定することや破壊することは、新たな形を拾い出し創造する。20世紀美術の巨匠マチスやピカソが破壊を繰り返しながら創造してきたことを考えると、破壊が創造のエネルギーとなってきたとも考えられる。」
内田江美「Trace-329」
これまで內田江美氏はアメリカ、メキシコ、日本、フランス、台湾など世界中で数々の個展を開催してきた。2014年には「スイーツの神様」と呼ばれる小山進とコラボしてチョコレートアートシリーズを発売。2015、2016年と連続でフランスの有名ギャラリーThe Tolman Collectionの東京ギャラリーにて作品が展示された。近年、瀬戸内市立美術館で展示された新作「蝴蝶(Butterfly)」は、コロナ禍での芸術家の生命に対する悟りをつまびらかにした作品で、至るところで熱烈な反響を呼んでいる。